ふたつの背中を抱きしめた
衝撃、なんてものじゃ無かった。
私から言う前に、その名前を綜司さんの口から聞くなんて。
完全に動揺した私は口をパクパクさせるだけで言葉が出てこない。
「その…柏原柊ってボランティアに来てる子が…真陽のコトを好きで、それで真陽が悩んでるって。
さっき三島さんが教えてくれた。」
……!!!
…さっき、リエさんと綜司さんが話してたのは…このコトだったのか。
「きっと真陽の口からは僕には相談しづらいんじゃないかって、それで1人で抱え込んじゃって体調崩すほど悩んでるんじゃないかって…三島さん、心配して僕に教えてくれたんだ。」
「……」
「…真陽、本当なの?その子のせいで真陽はこんなに…過呼吸起こすほど苦しんでるの?」
私は瞳を閉じて天井を仰ぎ
大きな深呼吸を1回した。
きっと
誰かを殺す時って、こんな気分。
「違うよ、綜司さん。
柊くんは何も悪くない。
悪いのは 私。
私、柊くんと寝たの。」
「…………………え?」
「ごめんなさい、綜司さん。
私と、別れて下さい。」