ふたつの背中を抱きしめた
3.願い
それは、翌日の夜。
仕事から帰った私が目にしたのは
リビングのソファーで眠っている綜司さんだった。
私はすぐその異様な光景に気付く。
まだ暑い九月の夜にエアコンも入れず閉め切った部屋で滅多にしないうたた寝をしてる綜司さんの姿に。
嫌な予感がして駆け寄ってみると
綜司さんは奇妙なイビキをたてて眠っていた。
傍らに沢山の睡眠薬の箱を落として。
ほんの数ヵ月前まで
2人で肩を寄せ合いながら幸せな未来を語っていたソファーで
綜司さんは
死のうとしていた。