ふたつの背中を抱きしめた
昨日、あれから綜司さんは
「この話はまた後でにしよう。」
と言って、ずっと作った笑顔を張り付かせていた。
その違和感にどこか嫌な予感を覚えながらも私は、昨日早退してしまった仕事を今日も休む訳にはいかず、休日の綜司さんを1人家に残して出勤せざるを得なかった。
…まさか、綜司さんがこんな事をするなんて…!!
私は綜司さんに付き添った救急車の中でガクガクと震えながらひたすら後悔をしていた。
今日は仕事を休んででも綜司さんの傍に居るべきだった…!
…違う、昨日もっとちゃんと話し合えば良かったんだ。
……違う、違う!
どんな話し合いをしても、きっとこうなった。
私が綜司さんの手を離した時点で。
『君が居なくなったら、僕は絶対に生きていけない』
初めて罪に堕ちた夜、綜司さんが言った言葉。
嘘じゃ無かった。
そしてきっと
あの時からもう、この悲劇は決まっていたんだ。