ふたつの背中を抱きしめた
綜司さんは私の選択を
「真陽が選んだんなら間違いないよ。」
と肯定してくれた。
信頼と尊重に溢れたその一言が嬉しくて、彼が恋人である事の喜びをつくづくと噛み締めた。
きっとこの頃からかも知れない。
私が綜司さんを人生のパートナーとして意識し始めたのは。
きっと生き甲斐になるであろう仕事と、それを見守り続けてくれる綜司さん。
数年後も
数十年後も-----。
今まで朧気だった未来の輪郭が
少しずつ、でもはっきりと描かれて行く。
もうすぐ大学を卒業し自分の未来へ向かって歩き始めるのだと思うと高揚する気分が抑えられなくて、4年生の後半の自分はやたらはしゃいでいた気がする。
そしてそんな私に
さらなる幸せが
追い打ちを、かける。
私の思い描いていた未来は、私が考えるよりずっと早くやってきた。
「真陽、結婚して欲しい。
一生僕の傍に居て下さい。」
月明かりの下でそう言った綜司さんは、やっぱり儚いほど美しくって。
私は彼が消えないように強くその背中を抱き締めた。
これから始まる2人の未来を夢見て。
これから始まる長い幸せな人生を信じて。
神様、どうか永遠にこの人の傍に居られますように---。
そう、願ったのは
柊くんに出会う
一週間前のコト。