ふたつの背中を抱きしめた
「枯れ木じゃないよ。柊(ヒイラギ)って冬の寒さに負けない立派な葉を付ける強い木だよ。雪の中でも強くて凛とした濃い緑の葉っぱは、柊に似てると思う。」
食事の手を止めて、ジッと見つめて言った私に柊はしばしキョトンとした表情を見せた。
そして、はにかんだように笑うと
「全然知らなかった。真陽は物知りだな。」
と嬉しそうに顔を赤らめた。
そんな時に見せる柊の顔は、いつも私の心を切なくさせる。
もっと彼に色々な事を教えたくなる。与えたくなる。
きっとまだ出逢ってない、彼を笑顔にする数々のコトを。
強く想う。
柊に、幸せになって欲しいと。