ふたつの背中を抱きしめた
ねだられたシチューのお代わりをよそい手渡すと、柊はニコニコしながら私に言った。
「真陽はさ、スゴく合ってるよな。『櫻井真陽』って名前。」
「そう?」
「うん。『櫻井真陽』って、まんま春のお陽様じゃん。すげーぴったり。
真陽は俺にとって優しくて温かい春のお陽様そのものだよ。」
柊は、幸せそうに笑ってそう言った。
なのに。
「…やめてよ…」
「え?」
「…なんで、そんなコト言うの?」
私は、ショックだった。
「なんで…お陽様なんて言うの?」
「真陽?」
「私は…っ、私はそんなんじゃない!!」
突然叫んだ私に、柊はただ驚きの表情を浮かべていた。