ふたつの背中を抱きしめた



…え?

…辞める?柊が?ぬくもり園を?

なんで?

私、何も聞いてないよ?

なんで、こんな急に。


私の中にジワジワと動揺が広がっていく。

私は目を見張りながら園長の次の言葉を待った。



「みんな知っての通り柊くんは毎日のようにこちらを手伝ってくれて正規スタッフ並に業務に当たってくれていました。

そんな大きな協力者を失うのは園としてもとても残念なんだけど、彼はこれからは自分の道を歩む事を決めたので、みんなも快く彼を送り出し応援してあげて下さい。

そして何より、ぬくもり園に並々ならぬ尽力をしてくれた柊くんに代表としてお礼を述べたいと思います。

ありがとう、柏原柊くん。」


園長が柊に向き合って頭を下げると、スタッフ達から拍手が上がった。

突然の話に驚きの表情で拍手する者、笑顔で感謝の気持ちを籠めている者、様々だったけど。

柊は、ちょっと照れ臭そうに頭を掻いた後

園長に促されて皆の前に向き直って一礼をした。


そして

緊張しながら、戸惑いながら

おずおずと話し始めた。



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