ふたつの背中を抱きしめた
その日は1日、柊の話題で持ちきりだった。
スタッフもボランティアも子供も。
驚く人、柊がいなくなるコトを悲しむ人、反応は様々だったけれど
でも、柊が自分の道を見つけて歩みだしたコトを
皆、心から祝福していた。
もちろん、私もその1人。
…のはずなんだけれども。
どうしても胸の中の複雑な思いが拭いきれないでいた。
どうしてこんな急なの?
なんで今までヒトコトも言ってくれなかったの?
隣県で働くってコトは引っ越すの?
…まさか、もう会えないの?
聞きたいコトが多すぎて、早く柊と話がしたくて
業務時間が長く感じられてしょうがなかった。
それでも。
柊はぬくもり園で最後のボランティアを、子供達との触れ合いを目一杯楽しんでるように見えたし
私も数ヶ月ぶりに彼と働けるコトに隠し様の無い喜びを感じていた。