ふたつの背中を抱きしめた
「急だったのは謝る。でもちょうど園長の知り合いが12月から人手が欲しいって言ってくれて、チャンス逃したくなかったし。グズグズするのイヤだったから。」
「…5年経つまで、会えないの?」
「なるべく我慢しようと思ってる。遠いし、勉強もすげー頑張らなきゃいけないし。それに会っちゃうと俺また真陽に甘えちゃいそうだし。
あ、でも電話やメールくらいはするよ。」
「…私、手紙の方が好き。」
「手紙も書く。また真陽のイラストも描いてやる。」
「…もう…。ズルいよ…全部自分1人で決めちゃって。」
「…真陽?」
俯いた私の顔を、柊が覗きこんだ。
「…怒ってる…?」
「怒ってない。」
「…俺のやり方、間違ってる?」
「…間違ってない…!」
私は涙で顔をグシャグシャにしながら、柊に勢いよく抱き着いた。