ふたつの背中を抱きしめた
男が、病室に飾ってある花瓶の花を取り換えていると
コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。
「誰だろうね、またキミの友達が遊びに来てくれたのかな。白石さんか三島さんかな?」
眠る女性に話し掛けながら、男は病室のドアを開けた。
「…あ…、どうも。こんにちは…。」
開いたドアの先に立っていたのは、まだ歳若い青年で
黒い瞳と髪が印象的な、男だった。
「…浅葉 綜司さん、ですよね?」
青年は、男の正面から堂々とそう聞いた。