ふたつの背中を抱きしめた
柊くんのやるコトは子供達を喜ばせる。
ただし、時に考え無しなのがタマにキズだ。
私は子供達の服を洗濯機で回しながら考えていた。
そこへ、服の袖を捲りながら
「真陽ちゃん、手伝うよ。」
と、リエさんがやって来た。
「リエさん、早いね。今日、夜勤じゃなかった?」
「うん、たまにはね。それより真陽ちゃん、休憩中でしょ?いいよ、ここは私に任せて休んで来なよ。」
でも、悪いよ。
そう言い掛けて私は口をつぐみ
「ありがとう、じゃあお願いするね。」
と言い直した。
洗濯機のある裏庭から戻る時、追加の洗濯物を抱えた柊くんとすれ違った。
「洗濯、終わったのか?」
「まだだよ。今、リエさんが洗濯機まわしてくれてる。」
柊くんは、ふーんとだけ言ってそのまま裏庭に向かった。
その後ろ姿を見ながら、私は自分の勘が当たっている予感がした。
リエさんは多分、柊くんが好きだ。
「柊くんには困っちゃうね。」
なんて言いながらもリエさんは柊くんと一緒に仕事をしたがるし
なんだかんだで柊くんの情報を1番知ってるのも園長以外ではリエさんだと思う。
柊くんがリエさんをどう思ってるかは分からないけれど、私は友達としてリエさんの恋を応援したいなと思っていた。