ふたつの背中を抱きしめた
3章 純白の夢、君の過去
1.その瞳に宿すもの
純白のウエディングドレス。
ステンドグラスから零れる神秘的な光がチャペルを静粛に彩って。
神様の前で2人は永遠の愛を誓う-----
「なんてステキなの…」
私はウットリとした瞳でパンフレットを見ながら、ほうっと憧れの溜息をひとつついた。
「真陽はやっぱりドレスがいい?僕は真陽の白無垢も見たいなあって思うけど。」
リビングのソファーにゆったりと座りながら綜司さんも手に持ったパンフレットを眺めている。
私達は忙しい時間をぬいながらも少しずつ結婚に向けて準備を進めていた。
式場を探すため山ほど取り寄せたパンフレットを見ながら私は憧れを募らせていた。
女の子にとってきっと1番幸せな時間を今、過ごしてるんじゃないかな。
「神前式もいいよね。迷うなぁ。でも私、綜司さんのタキシード姿をチャペルで見たい。きっとすごくカッコいいんだろうなぁ。」
床に座っていた私は綜司さんの脚に甘えるようにもたれ掛かる。
その様子を見て綜司さんが私に向かって手を伸ばした。
「おいで。」
優しくて低い声で甘く私を呼ぶ。
私はそれに素直に従って、ソファーに腰掛ける綜司さんの脚のうえに跨って座った。
嬉しそうに綜司さんがギュウッと抱きしめる。
それに応えるように私も綜司さんに頬擦りをした。
「来週から式場見て回ろうか。」
私の顔のすぐ横で、綜司さんが言った。
「そうだね。2人で一緒に見に行こう。」
幸せな約束にとろけそうな気持ちで、私達はイチャイチャとくっついたままキスをした。
「今年中に式挙げられるかな?」
そう言って振り向いた先に掛かってるカレンダーは
もうすぐ7月の
---夏の訪れを、
示していた。