ふたつの背中を抱きしめた
私の問いに、綜司さんはとても哀しそうな顔した。
「真陽、それ本気で言ってるの…?」
綜司さんのその表情に
私は首を横に振るしかなかった。
馬鹿なコトを言ってしまったと後悔した。
綜司さんは私を痛いほど強く抱き締めとても辛そうに言った。
「そんな事、二度と言わないでくれ…!僕には真陽しかいないんだから…!」
どうして。
綜司さんがそんなコトを言うのか分からなかった。
なんでも持っている綜司さんが、どうして私しかいないなんて言うのか。
ただ
こんな私でも、綜司さんにとってかけがえのない存在なんだと云う事だけは苦しいほど伝わってきた。
それから私は、綜司さんに釣り合わないと拗ねるのでは無く
綜司さんに釣り合うようになろうと前向きに考えるようにした。
あれから私は、少しでも綜司さんの隣が相応しいような女の人になれただろうか。
神様の前で生涯の伴侶になると誓えるほどに成長出来ただろうか。
私は、綜司さんの作った朝食を口に運びながら
神聖な教会で綜司さんと向かい合う純白のドレスに身を包んだ自分を一生懸命、想像してみた。
きっと、大丈夫。
そう強く信じながら。