ふたつの背中を抱きしめた
笑って欲しかったはずなのに。
笑って欲しかっただけなのに。
どうして、こうなったの。
ずぶ濡れで帰ってきた私は、風呂場に駆け込んで熱いシャワーを頭から浴びた。
私が、泣かせた。
柊くんの瞳を、絶望の色に染めた。
柊くんの頬を伝った大粒の涙が頭から離れない。
どこから、間違ったんだろう。
いつから、おかしくなったんだろう。
後悔ばかりが押し寄せる。
そして、思い出す。
柊くんの腕に抱きしめられた感触を。
彼の力強さ
彼の温かさ
彼の香り
彼に絶望を押し付けたのに。
自分は、自分の身体は、
彼の感触に高揚する。
「…最低…、最低、最低っ!!」
私は、自分の頭を抱え込んでその場にしゃがみこんだ。