ふたつの背中を抱きしめた
「…真陽…。」
もう一度、柊くんの唇が私を呼んだ。
ほどこうとした手は、強く、強く、握られていく。
「…俺…真陽が好きだよ…。
初めてなんだ、こんな気持ち。誰かを欲しいなんて、初めてなんだ。」
「…柊…くん…」
「……でも、間違ってる?
真陽を、櫻井真陽を好きになったのは…間違ってるのかなぁ…」
「…柊くん…!」
「ねぇ、真陽。俺はやっぱり間違ってる?」
顔を上げた、柊くんの瞳が
哀しみに、絶望に、染まっていく。
まるで、深い深い闇へ
落ちていくように。
「俺はやっぱり、間違ってる人間なのかなぁ」
「間違ってない…っ!!」