お姫様のオオカミ
連れていかれた先はサッカー部部室の裏。
そこには先輩もいた。

「キャプテン、5分だけだからな」

「わかってる。ていうか、ちゃんと敬語で話せ」

「無理。詩音、何か変な事されたらすぐに俺を呼べよ」

「え?え…?」

私は状況が呑み込めずにいた。
玲央が私を連れて先輩の所に連れて行って、玲央はどこかへ行っちゃって…

「ごめんね。俺が呼んでもらったんだ」

「え?」

「今の感じだと、上手くいったようだね」

「あ…」

「まぁいいんだけどさ。あいつから聞いた。もうマネージャーには戻らせないって」

「あ、はい」

「だから、ちゃんと聞きたいって思ってさ」

聞きたい…あ!!

『詩音ちゃん、俺じゃダメかな?』
『一人の男として、見てほしいんだけど』
『返事はいつでもいいから、考えてくれないかな。今、すごく辛いときだってわかってるから…』

先輩にまだ言ってなかった。
返事を返してなかった。

「あの…その…」

言わなきゃ…

「ごっごめんなさい…」

思いっきり頭を下げた。
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