お姫様のオオカミ
私を連れたまま、売店へ。
パンと飲み物を買ってまた歩き出す。

玲央に連れられるがままに着いていくと…


「…ここ、結構好きかも」

そこは屋上だった。
真夏で太陽がじりじりと照らしてくる。
私たちは日陰の方へ行き、座った。

「詩音、これ」

「ありがとうございます…」

パンを手渡された。
飲み物も。

「言っとくけど、授業行かせる気とかないから。聞きたいこといっぱいあるし」

「…え?」

「本気だよ?」

その言葉を言い終わると同時に午後の授業が始まる音が聞こえた。
私は慌てて立ち上がる、が時すでに遅し。

「授業行かせる気ないっていったじゃん」

腕を掴まれ引っ張られた。
そのまま玲央に吸い込まれるように抱きしめられた。
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