お姫様のオオカミ
「私は、ずっと玲央の事しか考えてないですよ」

出会ってから今日までずっと。
途中まで気付かなかったけど、私はずっと玲央の事で頭がいっぱいだった。
それが『恋』だったってことも。

「ばっ…」

玲央が離れた。
近付くと顔を隠した玲央がいた。

「玲央?」

「なっなんでもねぇよ」

「頭痛いですか?熱中症とかですか?保健室行きますか?」

体調崩したのかな?
心配になり、玲央に近づく。手に触れる。

「大丈夫ですか?」

「ずりぃよ…」

「私、そんなにズルいですか?」

「あんなこと、さらっと言うなよ」

「『あんなこと』?」

「わかんねぇならいい」

「そっそうですか…」

詳しくは聞かない方がいい気がして聞かなかった。
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