お姫様のオオカミ
不覚にもそう思ってしまった。
サボるのはよくないことってわかってるのに、私は玲央ともっと一緒にいたいと願ってしまっている。
恋は私の今までの概念さえ変えていくのかもしれない。

屋上から校舎の中へ。
と同時にチャイムが鳴った。

「え…」「あ…」

そのまま屋上へ戻った。
また授業をサボってしまった。
私の願いが叶ったみたい。

「なんか、悪ぃな」

「え?あ…いえ。ふふっ」

「何笑ってんだよ」

「いえ、私のお願いが叶っちゃったみたいでつい…」

「お願い?」

「はい。授業に出なきゃと思ってたのですが、それよりも玲央と一緒にいたいと思ったんです。そしたら、叶っちゃったんで」

「詩音っ」

私の名前を呼び、抱きしめた。
埋まっちゃうんじゃないかっていうくらいすっぽりと。

「いつまででも、どこまででも一緒にいてやる。離れてなんかやらない」

「…はい。ぜひお願いします」
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