ココロヨミ
「で、なんだよ?」

「い、いや……特に何でもないのだが……と、そうだ!空、なぜ瞳には得意の“人間恐怖症”が出ないのだ?」


実を言うと全くキンチョーしてないわけじゃない。

「別に得意なわけじゃないけどな。なんか俺にも良くわからん。……前は一応、生きてる人間なら誰にでも、多かれ少なかれ反応してたんだがなぁ?」

今回はそれでも、やけに症状が軽い気がする。


ん?それってつまり……多少この体の体質が改善されてきたってことか!?

(そういえば、前はこんなに人のいる遊園地に来るなんて、全く考えられなかったよな……)


「ふーん。で、空。『迷子センター』とはなんだ?」

ま〜た始まったよ……。


「お前、俺の心読めるんだろ?」

「“お前”は止めろと言っておるだろう!それに私は、お前の口から直接聞きたいのだ」

「はいはいはい。迷子センターってのはな―――」


「あっ!」


突然、瞳が何かを見つけ一目散に走り出した。

「瞳ちゃん!」

二人の声は、もはや彼女の耳には届いていなかった。


「瞳!!」

「お母さん!!」
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