ココロヨミ
四日目 〜誘惑とホントの気持ち〜
「桐原!お前がいなかったおかげでこんなにも仕事が溜まってるだろうが!」
朝からブルドッグの怒鳴り声(唸り声?)が耳に突き刺さる。
「す……すみません」
『え?休んでいいって言ったじゃないですか』なんて、間違っても桐原は言わない。言えやしない。
結局人間恐怖症は大して改善された訳でもなく、街を歩けば通行人にビクつくのも相変わらずだった。
今だってブルドッグの腹の奥に響くような怒鳴り声に、おどおど謝る事しか出来ない。
まあ、それは他の大多数の平社員も同じなのだが……。
「お、そうだそうだ。桐原、お前は休んどったからまだ紹介しとらん筈だな?」
「は、はぁ……誰ですか?」
桐原は、とりあえず“美女”じゃないことだけを切に願った。
相手が綺麗な人になればなるほど、女性恐怖症の危険度が増してしまう。
それはまずい。ひじょ〜にまずい。
「話ぐらいは聞いてるだろうが、若い女の派遣社員だよ。それも飛びっきりの美人だぞ」
最悪だ。
ニヤニヤと笑うブルドッグ顔が憎らしい。
「しかもお前の隣の席だからな。まったく羨ましい奴だ」
そんな事だろうと思ったが、言わせてもらうと……このおっさん、完全なるドSか!?
勿論心の中で叫んだ。
磐田課長の十八番“必殺桐原いじり”は、今日は一段と絶好調らしい。
「課長……そ、それはちょ―――」
「おーい神流君」
「はーい♪」
朝からブルドッグの怒鳴り声(唸り声?)が耳に突き刺さる。
「す……すみません」
『え?休んでいいって言ったじゃないですか』なんて、間違っても桐原は言わない。言えやしない。
結局人間恐怖症は大して改善された訳でもなく、街を歩けば通行人にビクつくのも相変わらずだった。
今だってブルドッグの腹の奥に響くような怒鳴り声に、おどおど謝る事しか出来ない。
まあ、それは他の大多数の平社員も同じなのだが……。
「お、そうだそうだ。桐原、お前は休んどったからまだ紹介しとらん筈だな?」
「は、はぁ……誰ですか?」
桐原は、とりあえず“美女”じゃないことだけを切に願った。
相手が綺麗な人になればなるほど、女性恐怖症の危険度が増してしまう。
それはまずい。ひじょ〜にまずい。
「話ぐらいは聞いてるだろうが、若い女の派遣社員だよ。それも飛びっきりの美人だぞ」
最悪だ。
ニヤニヤと笑うブルドッグ顔が憎らしい。
「しかもお前の隣の席だからな。まったく羨ましい奴だ」
そんな事だろうと思ったが、言わせてもらうと……このおっさん、完全なるドSか!?
勿論心の中で叫んだ。
磐田課長の十八番“必殺桐原いじり”は、今日は一段と絶好調らしい。
「課長……そ、それはちょ―――」
「おーい神流君」
「はーい♪」