依存の空
「やめてっ!!」
やめて。
聞きたくない。
私は耳を押さえてうずくまる。
「柊くんには、柊くんには分からない。
私には奏しかいなくて、奏には私しかいないの!
私たちはそれで成り立っている!
私たちは、それがなければ、生きられない…」
全身で柊くんを拒絶する。
彼は知らない。
私たちのことを、何一つ。
それは幸せなのだと、彼が知る日はきっとこないだろう。
私たちはある日突然、知ってしまった。
残された者が変わっていくことは、裏切りなのだ。
まだ何か言いたげだったけれど、しばらく立ち尽くした後諦めたように私に背を向け、のろのろと歩き出した。