依存の空



「やめてっ!!」


やめて。
聞きたくない。


私は耳を押さえてうずくまる。



「柊くんには、柊くんには分からない。

私には奏しかいなくて、奏には私しかいないの!

私たちはそれで成り立っている!

私たちは、それがなければ、生きられない…」



全身で柊くんを拒絶する。


彼は知らない。

私たちのことを、何一つ。


それは幸せなのだと、彼が知る日はきっとこないだろう。



私たちはある日突然、知ってしまった。



残された者が変わっていくことは、裏切りなのだ。



まだ何か言いたげだったけれど、しばらく立ち尽くした後諦めたように私に背を向け、のろのろと歩き出した。






< 16 / 19 >

この作品をシェア

pagetop