依存の空
「…ついた」
「海…」
着いたのは私の大好きな海。
車を降りて日が暮れかけた海岸に腰を下ろし、奏は何処からか重箱を取り出して広げて見せた。
「これって…」
「ん、弁当持ってきた」
私の好物で埋め尽くされている
…仕事を切り上げて、わざわざ作ってくれたのかな。
「だから昨日遅くまで残業してたの?」
奏は何も言わずに微笑んだ。
一緒に暮らし始めた頃は、料理なんて全然できなかったくせに。
「ありがとうっ、奏」
今にも泣き出しそうな情けない声だったけど奏は満足そうに笑ってくれた。
奏の作ってくれたお弁当はどれもおいしくてやっぱり泣いちゃいそうだった。