そんな彼女に惹かれて・・・。
その頃、皆の所に戻った愛海。

「愛海、大丈夫?」

「うん、大丈夫。あれ、由梨は?」

「明日用事があるから先に帰るって。直樹君も帰ったよ。」

え、松田君も・・・。

やっぱりそうなんだ・・・・。

「ごめん、あたしのせいなんだ・・・。」

「愛海?・・・・どうしたの?」

「「愛海ちゃん?」」

愛海は、由梨との些細な事で泣き出していた。

今になって彼女とこんな喧嘩をするとは思いもしなかったからだ・・・。

その頃、帰り道で由梨は1人で歩いていた。

愛海の言われた言葉が由梨にとって凄く胸を打たせたからだ。

『クールな振りして恋愛するのが怖いんでしょ?』

確かにそうかもしれない・・・。

彼女に言われるまでどんな恋愛も上手く行かず、冷めた自分が居た。

だけど、愛海に言われて今の自分がホントに1人なんだと実感した由梨。

彼女も悔し涙が出ていた。

すると・・・。

「由梨ちゃん!!」

後ろから誰かが叫んでいる声に振り向いてみると直樹だった。

「松田君・・・。」

「ハア・・。間に合った。何か元気ないから心配でさ・・。どうした?愛海と何かあったか?」

「ううん、何でも・・・ない・・・っ・・。」

由梨も張り詰めていた糸が切れたのが直樹の前で泣いていた。

「沢山泣いていいよ。・・・俺で良ければ話聞くよ。聞かせて。」

直樹は由梨を腕の中に引き寄せた。

「松田君・・・。」

由梨は、静かに彼の背中に手を回した。


何でだか分からない。由梨は、直樹のさり気ない優しさが欲しかったのかもしれない・・・。


何も言わず抱き合っていた2人。
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