そんな彼女に惹かれて・・・。
そして、暫く直樹と抱き合っていた由梨は・・・。

彼の傍からそっと離れようとしていた。

「ごめん・・ね。今日、どうかしてる。」

「いや、俺は良いんだけどさ。・・大丈夫か?」

「うん。もう1人で帰れるから。」

「家まで送るよ。」

「良いよ。何だか悪いし・・・。松田君、家どこ?」

「俺?俺は、武蔵小杉。由梨ちゃんは?」

「あたしは、田園調布。」

「なら近いし一緒に帰ろう。まだ電車もあるからさ。な?」

「う・・ん。」

「もしかして迷惑かな?」

「そんな事ないよ。ただ、今日初対面なのに何だか悪いなあって・・・。」

「気にしないでよ。俺がしてる事だし。何かほっとけなくてさ。」

「え?」

「由梨ちゃん見てるとさ気になるって言うか・・。」

「松田君・・・。でも、愛海の事好きなんでしょ?」

「え?」

「愛海は、松田君が好きよ。けど、さっきのはあたしが愛海に対しての八つ当たりって感じになっちゃったんだ・・・。
酷いよね・・。あんな事言うつもりなかったのに。」

「そっか・・・。由梨ちゃんは、好きな人いるの?」

「あたし?・・・あたしは・・・。」

直樹に問いかけられた由梨。

その時に思い浮かんだのは、隼人だった。

実は、由梨と隼人の過去があったと言う事を知らされるのは、また暫く後の事だった。

「由梨ちゃん?」

「今は、いない。・・・友達として付き合う位なら良いけど、ホントの恋愛となると今は誰もいない。」

「そうなんだ・・・。じゃあ、俺、立候補していいかな?由梨ちゃんと友達になりたい。」

「・・・松田君?どうして?愛海の事は?」

「今、彼女の事は本気で好きかどうか分からないんだ。だからと言って嫌いでもない。ただ、自分の本当の気持ちが見えないんだよ・・。」

「そうなんだ・・・。」

「暫くの間充電したい、自分の気持ちに。それからでも遅くないかなって・・。」

充電か・・・・。確かにその通りかもしれない・・・。
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