そんな彼女に惹かれて・・・。
人の気持ちほどこんなにあからさまに示すものは、ないと感じていた・・・。

誰にも言えないこの気持ち。

この事を抑えるだけでも必死な由梨だった。

かつて今は、愛海と隼人が付き合ってる。

それだけでもショックが大きいのに・・・。

大人になるとどうして昔言葉に出来たことが出来なくて素直になれないんだろう・・・。

相手の顔を見れば余計な意地やプライドが邪魔して惑わせる。

だから、子供がホント羨ましい。

それは、愛海も由梨も同じ気持ちだった・・。

すると・・・。

「・・・由梨ちゃん?大丈夫?」

直樹の言葉にハッと我に返った。

「え?・・ああ、ごめんね。大丈夫、何の話だっけ・・・。」

「何か悩み事?それとも疲れてる?」

「あー、うん、ちょっとね。でも、平気。ごめんね!!」

「いや、大丈夫ならいいけどさ・・・。今日は、早めに帰ろうか。」

「え?」

「何か色々考えてるみたいだしさ。」

駄目だ・・・・。

こんなに優しい直樹君がいるのに・・・。

由梨は、いつのまにか隼人の事が頭から離れなかった・・。

でも、1人にはなりたくなかった・・・。

「・・・ホントごめんね・・・。ちょっとだけで良いから充電させて・・・。」

「え?充電?」

「うん、心の充電・・・。」

そう言うと、由梨は直樹の手を優しく繋いだ。

「由梨ちゃん?」

「ごめん、ホントどうかしてる・・・。でも、今こんな事位しか出来ないの・・・。」

そんな由梨を見た直樹は・・。

「じゃあ、このまま帰ろう。俺も何だか少し充電したかったからさ(笑)」

「直樹君・・・。」

それから直樹は、何も言わず由梨と手を繋いで帰った。

何も言わない直樹に心を読まれてる感じがして由梨は、少し辛かった・・・。
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