End Love
その夜、わたしとさえちゃんと純希さんの3人で話をした。

クロが脱走したことや、今思っていること全て。

「やっぱり…クロとの出会いはただの偶然にすぎないんじゃないか」


わたし達一同はその声に背筋をびくっとさせた。

振り向くと、わたしの真後ろに初老の男が立っていた。

「と…父さん…!」

純希さんが立ち上がった。

「その言い方は酷い!」

純希さんはその男性に怒鳴りつけた。

「猫は気まぐれで生きる生き物だ。
たかが脱走したぐらいでそんなに深刻に考えん方がいい。
そんな暇があるなら、新しい夫でも探したらどうだ。」

純希さんのお父さんは、笑いながら部屋を出て行った。

部屋には、ドアを閉めた音が反響し、まだ残っていた。


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