恋 の 欠 片


放課後、会議室前にて。

私は田代佑待っていた。

田代は時間よりも五分遅れて来た。

告白する人を待たせるなんて、なんて奴なんだ。

田代佑よ。

「花沢さんだよね?」

来た来た、こいつが田代佑か。

「はい、そうですが」

スラリとした長身だが、そこまでかっこよくはない。

いたって普通な顔。

別にファンクラブ騒ぎになるくらいかっこよくもない。

「早速なんだけど、花沢さんが好きなんだ。僕と付き合ってください!」

やっぱりね。

でも、私の答えは決まってる。

「ごめんなさい」

頭を下げて謝った。

深く、

深く、

頭を下げた。



・・・

あれ?何にも反応がない。

頭を上げると、田代はこう言った。

「どうしたら好きになってもらえるかな」
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