恋 の 欠 片

「は?」

あまりに馬鹿馬鹿しい質問で笑いそうだった。

「僕、どうしても花沢さんだけは譲れないんだ。どんな手を使ってでも好かれたい」

あきらめが悪い男だ。

こういう男こそ嫌い。

「とにかく、先輩はどうしても好きになれません」

きっぱり言って教室へ走り出した。



田代は会議室前に居たファンの子達に吐き捨てる様に

「花沢ひなたの好きなタイプを分析しておいてくれ。あの女、僕がどんなに君を愛しているかも知らないで・・・」

と言った。

ファンの子達は

「了解しました」

と短く言って帰っていった。

もちろんこの事をひなたは知らない。

< 23 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop