恋 の 欠 片
「はあー」
誰もいない教室で、私は大きくため息を着いた。
あの人は本気だろうけど、
仮に私があの人と付き合ったとしても幸せになれる自信がない。
そうだ。
今日は帰ろう。
いろいろあって疲れた。
「ああ、あたしってついてない」
黒板に向かって呟いた。
黒板は夕日の光を浴びてちょっと眩しかった。
「何でついてないの?」
「ふぇ?」
いきなり声を掛けられたので変な声がでてしまった。
しかも、
その声はハルの声だった。
ハルは「変な声」と言って笑った。
「いきなり話しかけられたからびっくりしちゃって」
「あー、ごめんごめん。何がついてないの?」
「色々と」
「そっか」
気まずくなったので「もう疲れたから帰る」と言って教室を出た瞬間頭に衝撃が走った。
いてっ
振り向くとポカンと口を開けているハルがいて、私の横にはビラビラになった国語辞典があった。
「大丈夫!?」
と駆け寄るハル。