恋 の 欠 片
呆然と座り込む私。

投げつけられたであろう国語辞典。

ヤバい。

遠のく意識。

「ひなた!」

そう呼ばれて意識がちょっとだけ戻ってくる。

ハルが私の方を支えている。

「ハル・・・が投げたの?」

「ううん。ひなたが教室から出た瞬間横から飛んできた」

怖くて身震いしてしまう。

「今日は送ってこうか」

と言われたので断ったけどハルが無理矢理私を自転車に乗せたので仕方なく一緒に帰った。

家の前でハルが何かあったら怖いからと言ってアドレスを教えてくれた。

嬉しかったけど、ハルも私と同じ被害にあってしまったら怖いのでメールは送らなかった。

今日の国語辞典事件の犯人が田代のファンだと分かったのはハルと分かれてから五分後のことだった。

傷がズキズキ痛んだ。

私はこれからどうしたらいいんだろうという不安で胸がいっぱいだ。


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