恋 の 欠 片
「ハル?僕は祐だよ」
田代だ。
田代はニヤニヤしながら私に近づいてきた。
「・・・めて」
やっと声が出た。
「止めてください!」
「何を?」
田代は相変わらずニヤニヤしている。
「田代さんは何が目的なんです?」
あくまでも冷静に言った。
すると、田代は私に急接近してきて抱きしめられた。
「こうされても分からない?」
全然分かんねぇよ!と言いそうになったけど抑えた。
こういうのは冷静になったもん勝ちだ。
「分かりません。つか、離してください。」
「君は冷静なんだね」
「そうですよ。こんな事されるのは死ぬほどイヤですけど」
すると田代は私の唇の近くまで顔を持ってきた。
「これでも冷静を保てるかな?」
こいつはわたしをためしているんだ。