恋 の 欠 片
はあ、とため息をついた。
とたんに涙が出てきた。
「ひなた?」
「冷静に対処すれば大丈夫だと思って耐えていたけど、本当は辛かった」
ハルはここじゃ危ないから、と言って人気のない裏庭に連れていってくれた。
ハルは私の話を黙って聞いていてくれた。
「ハルは誰にでも優しいね」
「ひなただけに優しくしてるつもり」
ハルの言った一言に一瞬耳を疑った。
「私だけなの?」
もう一回聞いてみた。
「うん」
「何で?」
「・・・」
このままハルは黙ってしまった。
夕日に染められたハルの横顔は世界で一番輝いていた。
また、さっきとは少し違う質問をした。
「何で俺のものだからって言ってくれたの?」
長い間の後。
「ひなたが好きだから」
ハルはようやく口を開いたかと思うと私には刺激の強すぎる一言を吐いた。