恋 の 欠 片

「っ」


声にならない悲鳴が喉の奥から出た。



唇が切れて痛い。



「痛い?」



と女が言った。



首を縦に振ると、女は私から離れた。



女は私の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせた。



反射的に睨んでしまった。



「死ねよブス」



何も言えなかった。



女がポケットから何か取り出した。



光っている。



その物は、携帯用ナイフだった。
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