ようこそ片思い恋愛相談所へ!
瑞季さんは

「オレ、暫く寝るわ」

と言って二階に行ってしまった

これ手書きだよ…
こんな大切なもの私に?

思わず原稿を持つ手に力が入る

私は瑞季さんの香りがまだ残る椅子に座ると

膝に原稿を乗せさっそく読み始めた

タイトルは『雪待月(ゆきまちづき)』

雪待月とは今にも雪が降り出しそうな空に上がっている月の事らしい

ゆっくりとページを捲っていく

内容は―

地位も財産も何もかも手に入れ、自信に満ち溢れた男が

一人の女性に出会い恋に落ちるが振り向いてもらえない

真実の愛と初めての挫折を知り形振り構わず何もかもを捨てその女性への愛に生きようとする

そして全てをさらけ出した時、漸く女性は男を受け入れる

真実の愛を得た男は全てを失ったが心は満たされまた新たにこれからの人生を彼女と共に歩んでいく決心をする

という内容だった
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