ようこそ片思い恋愛相談所へ!
「それ、どうした?」

止まったと思っていた血がまた指先から滲んでいた

「切ったのか?」

と私の手を取り血の滲む私の指を口へと持っていこうとする瑞季さん

パシッ

咄嗟に手を振りほどくと

驚いたとも傷ついたとも取れる顔で瑞季さんが私を見る

「ご、ご、ごめんな、さい……」

恐ろしく長く感じる沈黙の後

「そこ、右側の一番上の引き出しに絆創膏入ってる」

それだけ言うと瑞季さんは書斎の方へ行ってしまった

瑞季さん…怒らせたかな

だけどさっき、高砂さんとあんな事あったから…

いつもなら軽口たたいていくのに、何にも言わないで言ってしまうなんて…

切った指先が痛いのか胸が痛いのか…

私はただただよく解らない痛みに一人耐えていた
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