ようこそ片思い恋愛相談所へ!
「……………」

「黙ってるちゅうことが全てを語ってる」

「す、すいませんでした。嘘をついて…」

「あんたが気にすることない」

「でも…」

「見合いの話は嘘ではないけど本当の目的は、あの子がちゃんと生き生きとした生活をしてるか、この目で確かめたかったんや」

「生き生き?」

「そうや。良一郎には大学出たら呉服屋の仕事を継がせようと思ってた

あの子もそのつもりやったしな

でも大学三年の時にどうしてもやりたい仕事があるって私に頭下げてきた」

お母さんはお皿を拭きながら話を続ける

「家の為にずっと一生懸命やってきてくれたあの子が、自分のやりたいことを初めて親に言うて頭下げてきたことの方がうれしゅうて私は直ぐに許した」

リビングではまだ仕事の打ち合わせをしているのかこちらに気づく様子がない

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