you know,I love you
「もしかして、薫、待ってる?」
あたしはただなんとなくここに来てしまっただけで
約束をしていたわけでもなく、小さく首を振るだけだった。
「そっか、なら良かった。あいつちょっと具合悪くてね」
「!!」
その人は持っていた鍵でバーの扉を開けると、どうぞと中に入れてくれた。
「俺、ここのオーナーね。薫よりもえらい人。OK?」
そう言いながら冷蔵庫を開けると、冷たいミネラルウォーターをグラスに注いでくれる。
こくんとうなづいてグラスが置かれたカウンターに座る。
「あ、あの・・カオルさん、具合悪いって・・・」
あたしはたまらくなって聞いた。
「あー、そんな心配しないでいいよ。ただの過労。働きすぎなんだよ、あいつ」
そう言いながらオーナーさんは、ZIMAを出してぐいっと瓶を傾けた。
こんな真っ昼間から飲むなんて、大丈夫なんだろうかと思ったけどお酒に弱い自分が言うことじゃないかと口には出さずにおいた。
「あ、そうだ。キミ、アルバイトしない?」
「え?」
すっごくいいことを思いついたみたいな顔でオーナーさんがカウンターに腰掛けた。
「アルバイト・・・ですか?」
「そっ!超簡単なアルバイト」