you know,I love you
「奈緒はオレンジジュースな」
アツシは優しい。
女としては意識されてないだろうけど、酔ってもちゃんとあたしを気にしてくれる。
だけど、恋はしたくない。
あたしはこのままでいたい。
あたしは黙ってうなづくとソファーの背もたれに頬杖をついてカウンターのほうを見た。
お店はそんなに広くなくて、学生がわいわい来るような雰囲気じゃない。
薄暗い店内にはおしゃれなBGMが会話を邪魔しない程度の音量で流れていて
それがまた眠気を誘った。
カウンターには常連らしい男が一人。
カウンターの中にいるマスターと話している。
アツシたちはタイミングを計って近寄ってきたウェイターに飲み物を注文している。
あたしはそれを意識の端で聞きながら、ぼんやりとカウンターの中を眺めた。