ふたり。


キッチンに行くと陸はやはり料理をしていた。

「どうしたの?」
陸の八重歯が光る。
あの笑顔を私のものにしたいんだ。

でも、その笑顔は私に向けられたものではないきがするよ。
お互い遊びのつもりが、私だけ本気になったよ。

「シャワー…」

私はなんとなく気まずくなって舌を向いた。


「パンツくらい履けよ。それならブラつけんなよ」
私は首をかしげた。
「お前の格好、変だぞ?」

私はブラ一枚だった。

「隠すとこ間違えた…」

私は舌を向いたまま答えた。


「ごめんなー。俺、シャンパンかけるつもりじゃなかったんだ」
「当たり前だよ、初めてだよシャンパンかけられるなんて」
私はベタベタになった髪を陸に見せた。

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