ふたり。
「お前、面白いな。Sなの?Mなの?」
陸がベタベタになった髪をタオルで拭いてくれた。
「たぶん偉そうなMだね」
ベタベタはタオルで拭かれたくらいでは全く落ちない。
「そっか。そのドア出て右が風呂場、好きに使って」
陸が最後に私の髪にキスしてくれた。
たったそれだけでうれしかった。
凛が鯉。濃い。来い。
まさか自分が恋する日が来るなんて想像すらできなかった。
告白はされる方だし、男なんて誰だって簡単に落とせた。
でも陸は違うんだ。
きっと私がどんだけ追いかけたって追いつかない。
私はさっとシャワーを浴びると、陸と同じにおいのシャンプーで髪を洗った。