ふたり。


風呂から上がった私は着るものがなかった。
「陸!!服忘れた!!」

「そこのタンスに入ってんの勝手に着ていいよ」
風呂場のドアを開けると、なにか美味しい香りがした。

私は言われた通りに風呂場にあったタンスを開けた。
中には、女物のスウェットが入っていた。

だめだ。
叶うかもってまだ期待している自分がいる。
これは、遊びなの。
16歳の餓鬼を大人が相手にするわけないよね。

私はほんのささやかな抵抗で、その下に入っていた男物のスウェットに着替えた。

せっかく初めて人を好きになれたんだから叶う恋にしてよ、神様。


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