ふたり。
デパートは閉店間近でほとんど客さんはいなかった。
「俺たちどんな風に見えるんだろうな?」
陸がそういって私の手を握った。
「カップルには見えないよ。たぶん援助交際とか?そんな感じ」
私は陸の手を強く握り閉めた。
「まぁカップルじゃないからな」
陸は鼻歌を歌っている。
「そだね」
私は素っ気なく答えた。
一緒にいるともしかして私が彼女なんじゃないかと錯覚してしまう。
でもいつも陸の一言で現実に引き戻される。
それでも一緒にいれるだけで満たされる。
陸は私の気持ちに気付いてるんだろうか?
私はもう一度強く陸の手を握った。
陸はそれよりも強い力で握り返してくれた。