ふたり。
あれから何時間経っただろう。
デパートは30分くらい前から既に閉店している。
陸は一向に帰ってくる気配がしない。
私は涙を拭いて窓に顔を張り付けた。
デパートの入口から人影が見えた。
陸が煙草を吸いながらこっちに歩いてきていた。
わたしはすぐに車を降りて陸に抱き着きたかった。
でも寒くて歩く気力がなかった。
それもそうだ、もうすぐ冬なのにミニスカにTシャツ。
だって陸がジーンズ脱がしづらそうだったから。
陸が車の前まで来てドアを開けた。
「ごめん。どうしてもほしい物あって」
陸はそう言いながら後部座席に可愛い小さな紙袋を隠した。