ふたり。


「今日泊まる?」

陸の優しい声が沈黙を壊した。

「明日から学校デビューするんだけど」

私は靴下を上げるマネをした。

「なら学校終わって連絡して?迎えに行く」

「なんか珍しいね、陸から誘ってくるの」
私は嬉しくてニヤけていた。

「たまにはデートとかしてみるか」

陸はそう言ったまま黙り込んだ。
私もなんとなく黙っていた。

でもこの沈黙はなんとなく嫌じゃなくて。
陸の照れくさそうな横顔が可愛くてずっと見ていたかった。


陸は信号で止まる度に私の手にキスをした。
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