ふたり。


陸の家に帰るとなんだか安心する。
最近は毎日ここで夜ご飯を食べるのが日常になっていた。


「今日は俺が作るから凛はソファーに座ってて」
陸が私にシャンパンを注いでくれた。

「ありがとう。明日は私が作るね」
私は陸の首筋にキスをした。

私はソファーに寝転んで目を閉じた。
そして耳を澄ませる。


この家はいろんな音がする。

食材を切る音、水が流れる音、鼻歌。
冷蔵庫を開ける音、コンロに火が付く音。

陸が奏でる音が私の心の中にある孤独感を消してくれる。

私の家は無音で人の気配が全くしない。

でもここにいると人を近くに感じることができる。

ここが私の守りたい大事な居場所だ。


そしてそこには陸がいる。
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