ふたり。


「りーん。皿だして。もうすぐできるよ」
陸の嬉しそうな声が聞こえてくる。


私は目を閉じたまま深呼吸をした。

もし、本当に陸に彼女がいても、たとえ私が陸の心の中に一生入れなくても、私は変わらずに陸を愛そう。

陸は私に暖かいたくさんの幸せをくれる。

あんなちっさな紙袋よりも、この暖かさの方が私には嬉しい。

「凛?」
キッチンから愛おしい人の声がする。

「はーい!」
私は大きな返事をしてキッチンに急いだ。


彼女の枠に入ることが一番の幸せとは限らないのかもしれない。

今、陸は私の隣にいてくれる。
笑ってくれる。


それが何よりの幸せだ。

でもいつかは陸の隣で堂々と笑ってやる。
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