ふたり。
私は天井に向かってゆっくりと煙を吐いた。
「こっちのセリフだよ。陸はどこにいるの?どうしても陸に手が届かない」
私はそのままソファーに倒れた。
陸が私の前に寝転んだ。
私はそれをソファーの上から見下ろしていた。
陸と私は目があったままジッと動かなかった。
「なんか笑えるな」
そういって陸が私の手から吸いかけの煙草をとって咥えた。
陸の目にも涙が浮かんでいた。
「笑ってないじゃん」
私はソファーから起き上がると陸の顔に手を添えた。
「俺、凛が思ってるほどいい男じゃないよ」
陸の手から煙草が落ちた。
煙草が陸の足に落ちた。
「足!」
私は立ち上がって冷蔵庫に氷を取りに行こうとした。
でも陸はそんな私の腕を引っ張った。