ふたり。
陸の顔は涙でくしゃくしゃだった。
私はいつまで経っても泣き止まない陸を無視して薬指に光る指輪を眺めていた。
「ねぇこれ、今日の買い物の時買ったの?」
「うん。いろいろ選んでたら遅くなった」
陸がクッションに顔をうずめて鼻をすすった。
「んふッ。あんな寒いなか待ったかいがあった」
私は陸にティッシュの箱を投げた。
「明日、本当に学校行くの?泊まってけよ」
陸が鼻を噛むのを見ながら私は考えた。
「でも、どうせ昼間は仕事でしょ?」
「ならまた明日迎えに行く」
ここから私たちの生活が始まるんだと思うと嬉しくてたまらなかった。