ふたり。


「お前の髪、漆黒」

「真っ黒ですいませんね」

「綺麗なロングだねって言ったつもりなんだけど」


そうこういっているうちに車が止まった。

男がシートベルトを外して車を降りた。

「降りていいよ」


車はどこかの駐車場みたいなところに止められていた。


「どこ行くの?」

「ん?俺の家だけど?」

男はそういって私の手を握った。

彼の手はとても暖かくて優しくて、心地よかった。
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